半導体製造を支える「熱膨張しない合金」を作る技術力
鉄は「熱を加えると膨張する」という性質がある。だが、半導体や液晶パネルといった精密部品は、その製造過程で熱を帯びても膨張しない金属が不可欠だ。製造装置には100万分の1ミリ単位で制御することが求められるからである。
新報国マテリアルの主力商品は熱膨張しない合金、「低熱膨張(インバー)合金」である。なかでも半導体や液晶パネル、有機ELパネル等の製造装置の中核部品として開発されたのが、今回KOEDO E-PRO大賞を受賞した高剛性ゼロインバー合金「IC-ZX」だ。
通常、低熱膨張合金には鉄にニッケルなど5種類ほどの金属を加えて作ることが多い。だが、同社のインバー合金は10種類以上の金属を加え、独自の技術で加工することによって、さまざまなニーズに合わせた合金の提供を可能にしてきた。
この「IC-ZX」は熱膨張係数がゼロ、なおかつ剛性が非常に高く(ヤング率137GPa)経年劣化しにくいのが最大の特徴。 半導体製造装置では、ナノレベルの極めて微細な回路を形成するが、その装置の最も重要な部位に「IC-ZX」が使われている。