海外にも類を見ない
ガラス加工の精巧な技術
ガラスのハートという言葉があるように、人は、ガラス=もろい存在と考えがちだ。だが欠損が一切ないガラスは鉄よりも引っ張り強度が高いというデータもある。そのガラスを加工すればさらに強く輝き増す。ガラス加工処理には、機械処理、熱処理、ケミカル処理の3種類があるが、武蔵野ファインガラスは、現在、おもに酸を用いたケミカル処理による加工を行う。酸よるエッチングには、機械処理の際に生じる微小な傷を残すことなくガラスをさまざまな形状に加工できる長所がある。同社の技術は有機ELガラスの封止ガラス製造、各種デバイスのタッチパネル片面をスリミングなどに広く使用されている。
同社のエッチング技術の特長は、独自ブレンドのエッチング液、そしてエッチング時に、酸に触れさせたくない部分を覆い保護するカバー材(対HFレジスト)にある。同社は東京応化工業株式会社と共同開発したこのカバー材を用いたケミカル加工技術を特許出願した。「海外にもカバー材を用いたエッチングはあるが日本のモノマネという領域を出ない印象ですね」(取締役・森本茂彦さん)。28年の経験に基づくノウハウの蓄積を有する同社は、ガラス加工業界におけるリーディングカンパニーである。